大工の仕事・大工の紹介

家の骨格、構造材の加工方法

大瀧建築は、木造軸組構法で木の家を建てる大工工務店です。柱と梁が、家の骨格=構造となります。この構造材を組み上げるために、材と材が接する部分=仕口(しぐち)を、ほぞ、ほぞ穴、継手(つぎて)といった形状に加工します。大瀧建築は、大工が設計し、設計通りに構造を組み上げるために大工自身が手刻みで仕口を加工します。
手刻みに対し、この加工を工場に外注するのがプレカット工法です。設計図を工場に渡せば仕口ができあがった状態のプレカット材が現場に届くので、大工の仕事は組み上げるだけになります。プレカット工法は、大型機械で早く加工することで、若干のコストダウンと工期短縮が主なメリットになります。

林野庁の「森林・林業白書」によると、日本の木造住宅の約8 割は木造軸組構法で建てられ、そのうちの9 割以上がプレカット工法だといわれています。手刻みは機械加工ではできないような複雑な形状の加工もできることが特長の一つですが、通常の仕口加工の寸法精度に差はありません。では、大瀧建築はなぜ手刻みにこだわるのかについて説明します。

墨付け手刻み加工をする理由

手刻みをするために、地元天竜材の仕入れを自ら行います。仕入れで製材所を訪ねたときには山林に入ることもあり、木質と乾燥状況は自分の目で確かめます。意匠柱に北山杉・北山丸太を使う場合は、京都の材木商まで出向きます。
こうして吟味した良材を加工する前工程では、材料に加工線を引く墨付けを行います。墨付けを行うとき、大工は一本一本すべての材料に触れ、木目と木口(こぐち:断面)を読み解いて、構造のどこに使ってどの向きで仕口を刻むのかを考えます。木は、伸縮して割れや反りが多少なりとも生じる生きている材料ですが、動くときはどう曲がってどこが割れるのか決まっています。その動きを考慮して一本一本の材の刻み方と配置を決めるのです。

仕口の寸法は、プレカット材よりもきつ目に仕上げます。接合の強度・剛性・耐久性を高めるためです。接合がきつ目だと、現場で仕口を組み合わせるときに小槌やかけやで打ち込むときの音が違います。スポンとはまってしまうような仕口は、大工にとっては恥とされます。材と材が緊密に接合されることが構造にとって何より重要なのです。
構造の仕上げは、上棟のときに最後に組む屋根の頂となる棟木(むなぎ)を打ち込む作業になりますが、このときは大工が息を合わせてかけやを振って力を込めて完成させます。構造は、家の核心です。地鎮祭に次いで神に祈りを捧げる上棟式を行うのはそのためです。
また、いにしえからの伝承により、上棟当日にお客様に「霜柱 氷野桁仁 雪野梁 雨野棰木仁 露野葺草」の18 文字を棟木に墨書きしていただきます。読み方は「しもばしら こおりのけたに ゆきのはり あめのたるきに つゆのふきくさ」。水神にまつわる文字を綴ったもので、火難を除けるためのおまじないです。最近は行われなくなってきた慣習ですが、大瀧建築はこの伝統の儀を大切にしています。

本気・本音・生きがい

上棟の前日は、段取りと緊張感でなかなか寝付けないものです。上棟が家づくりのすべてではありませんが、大工としては大きな山場であることは間違いありません。上棟のひりつくような緊張を経験しながら大工は一人前に成長していきます。
家の骨格を組み上げるまでのすべての工程に手をかけるのは、大工の責任だと考えています。強く美しい家づくり。そのためには設計と加工技術の向上だけでなく、さまざまな建築を見たり木材や林業のことも日々勉強する必要もあります。厳しく大変なことですが、責任感だけでなくそこにはやり甲斐があり、つくる家に愛着がこもり、仕事に喜びが生まれます。

墨付け手刻みの家づくりは、住む人への思いと同時に、大工という生き方の嬉しさです。作っては壊す家づくりでなく、地域の環境や未来に受け継ぐより良い暮らしのために。大工職人が将来も活躍できるように。そして、自分たちが納得、満足して家づくりに向かっていくために、墨付け手刻みの家づくりに取り組んでいきます。


【 大工仕事の例 1 】

京都北山の丸太を使った「入母屋の家」

入母屋(いりもや)とは、古くから格式が高いとされてきた屋根の型式です。 日本の伝統様式といまのデザインを融合させた 平家の住まい。この家をつくるにあたり、軒下空間に使う磨き丸太を選定するために京都北山に出向きました。

山林も見学し、丸太一本一本に触れ、姿を見て木目を読み、時間をかけて選定しました。
丸太は幾何的な形状でなく一本一本姿かたちが違うので、接合部は丸太の形状に合わせて、作業場で仮組みをしながら手刻みします。
軒下空間の軒桁、垂木、柱に、北山丸太を使っています。美しさと強さと耐久性を兼ね備える、日本の木造建築の粋(すい)を集めたつくりを手がけることは、大工冥利につきます。実例ページでもご紹介しているので、どうぞご覧ください。

【 大工仕事の例 2 】

桧柱の鉋掛け

完成後に見える状態になる柱を、あらわし柱といいます。この柱の仕上げには、超仕上げ加工機を使用せず、手鉋で仕上げます。向こうが透けるほどの薄さで削るためには、刃の出具合の微妙な調節と、鉋を引く技術が必要です。手鉋で仕上げるようすは、動画でもご覧いただけます。

【 大工仕事の例 3 】

赤松の床柱 杉の床框

「入母屋の家」の和室は、純和風のつくりになっています。床の間の床柱は京都の赤松、床框(とこがまち)には北山杉を使用。これらの材も、京都北山で選定してきました。

床框は、ちょうなや突き鑿(のみ)という道具を使って加工する名栗(なぐり)を施します。専門の名栗職人による加工のようすもしっかりと見てきました。
皮付きの床柱と床框が接するところは、現場で仕口を削ってぴったりと合わせます。
完成した赤松の床柱と名栗の床框。純和風の空間の眺めを構成する重要な要素です。

【 大工仕事の例 4 】

天竜杉で焼杉材をつくる

焼杉とは、外壁に使う杉板を三角形に組み、その内側に煙突効果で炎を昇らせて表面を炭化させることで、耐久性を高めます。

人の手で焼く天竜の焼杉は、機械焼きよりも炭化層が厚く丈夫に仕上がり、耐久性とともに独特の色合いと風合いが外観に備わります。適切に表面が炭化したタイミングで三角形に組んだ杉板をばらし、水をかけて火を消します。機械やバーナーより手間のかかる方法ですが、炭化層が硬く剥がれにくい焼杉板となります。


大工紹介

しゃべりや愛想良くふるまうことが苦手な者ばかりですが、
技術、道具の手入れ、仕事に向かう真面目さは負けたくない、
そんなふうに思っている面々です。よろしくお願いします。
気軽に話しかけてもらったり、気づいたことや気に入らないことを
遠慮なく言ってもらうことをありがたく思います。

  • 棟梁 大瀧 義男
  • 昭和24年7月21日生まれ O型
    2019年に4代目に代表を引き渡した先代のあるじ。先代とはいっても、現場の仕事は現役のまま。 口数は少なく、言葉よりも手で語る。大工一筋、生涯大工。 これといった趣味はなく、休みには刃物を研いでいたり。 かといって堅物ということもなく、話せば穏やかに会話がはずむ。
    「大工とつくる家づくりの良さは、実際につくる人と対等に話をして、 打ち合わせをした当人が現場を進めていくこと。 ちゃんとお客さんの話を聞いて進めていくわけだから、トラブルなんて起きるわけがない。 もともとつくるのが好きで、家が完成するととにかく嬉しい。 お客様から『住んでみていい』という言葉がもらえると、なお嬉しい」と、とにかく根っからの大工。 二人の息子を跡継ぎにしたということこそ、大工の鑑、親父の鑑ということだろう。
  • 4 代目代表 大瀧 健太
  • 昭和54年5月17日生まれ 牡牛座 血液O型
    2019年に代表を受け継いだ大瀧建築4代目の当主。祖父、父親の仕事を見て育った大工の子は大工となり、 建築士と大工技能士、頭と手と両方の資格を取得し、設計、デザイン、 大工の技能向上に努めて今に至る文武両道の建築士大工。 趣味を訊ねると海とサーフィンが好きと答えるも、休日に鉋の刃を研いでいるのは先代ゆずり。
    その人柄を広報担当でもある奥様は、「石橋を叩きまくってからわたろうとする人」といったり、 父親である先代代表は、「健太は1ミリ、2ミリにまで細かい」、と。 その話ぶりには、慎重さや細やかさに信頼を置いていることがうかがえる。 つきあってみれば、細かい人柄というよりも、前向きで積極的な性格が伝わってくる。 何かを決めて行動に移せば、力強さ、スピード、正確さが頼もしい。

    保有資格 
    ●一級建築士 ●一級建築大工技能士 ●宅地建物取引主任者資格 
    ●地震被災建築物応急危険判定士 
    ●グラスウール充填断熱施工マイスター認定
  • 副代表 大瀧 雄也
  • 昭和58年6月1日生まれ 双子座 血液A型
    4代目代表大瀧健太の弟であり、棟梁の片腕として大瀧建築を支える。兄と同様、 子供のときから大工一家の家に育ち、学校で大工技能を学び、 住み込みで大工の修行を経験したのちに大瀧建築に入る。
    仕事について訊ねると、「木工事を一貫してやれるのが大工工務店の良さ。 品質とつくりに当人が自分の手で触れながら向き合っている」と。 また、「お客さんの思いを直接聞いて、図面に表れていないことも聞いて、そうやって建てた家が完成して、 引き渡しのときはかえがたい嬉しさを感じる」と、大工工務店の特長や仕事に向ける思いを聞かせてくれます。
    趣味はバーベキュー、川釣り、料理。きれい好きで仕事がきっちりしている、とは家族の評価。

    保有資格 
    ●二級建築士 ●一級建築大工技能士 
    ●グラスウール充填断熱施工マイスター認定
  • 広報担当 大瀧 彩央里
  • 2月13日生まれ 水瓶座 血液AB型
    大瀧の家に嫁いで子育てが落ち着いてきたところで、稼業にも内助の功を発揮。 広報担当を買って出て、代表のパートナーとして、おっとりとした笑顔で代表を引き立てながら、 異を唱えるときにはピシリと鋭く意見を発する。
    「大瀧建築は親身になって話を聞く工務店です。一棟一棟お客様の要望に答える自由設計で、 信頼に応えます」と、大瀧建築のありようについて明快なイメージを持つ快活な若女将