大工の自邸プロジェクト(7)

草屋根棟、上棟しました


母屋と草屋根棟の基礎工事が完了。草屋根棟は上棟したあと、台風や雨が続いて、ブルーシートで養生したり剥がしたりを何度か繰り返しながら屋根と壁を進めています。母屋は土台敷きの最中、柱と梁の墨付けと刻みも大詰めで、まもなく上棟します。

現場に広げてある板材は天竜杉、草屋根棟の外壁材です。空模様をうかがいながら、広報担当の大瀧彩央里が現場担当となって木材保護剤を塗布しました。
使用した保護剤はウッドロングエコ。天然成分だけでつくられた保護剤で、防腐・防蟻効果を発揮します。着色するものではありませんが、塗布すると木材の色味が変化します。着色剤は配合されていないので、どんな色になるかは、木材によって異なりますが、おおむね元の木肌の色合いが濃くなる印象です。そして、経年変化が楽しめます。

軒をしっかり出して、高さを抑えた安定感のある平屋。草屋根と天竜杉の外壁を施したこの建物が、この場所の自然のままに表情を変化させながら、その佇まいをなじませていくと思います。









カナリア石の研ぎ出しキッチン


前々回の記事に登場した左官花嶋の花嶋輝久さんと、デザイナーの中村圭吾さんと共に再び打ち合わせを行いました。
前回の打ち合わせのあと、ミニキッチンの試作を進めていました。大瀧建築で木部構造を組み立て、花嶋さんが人研ぎを施工。ミニといっても、横幅は1/4 くらい、奥行は本番より若干狭めで、高さは実寸。大人4 人でトラックから降ろしました。

構造、材料、工程は、ほぼ本番仕様です。研ぎ出しが5 回行われ、仕上げ剤も塗布されています。思わず笑みがこぼれてしまいそうな出来栄えです。
が、喜んでばかりはいられません。構造の問題点をチェックし、花嶋さんからは施工上の問題点を洗い出してもらい、ほぼ実物を眼の前にしてデザインを確かめます。
改善ポイントがかなり挙がりました。エッジの丸みについては、横幅が1/4 くらいのスケールでは決めきれず、このあと実際に丸みを加える加工をして実物を見て決めることにしました。

初めての挑戦のため、問題点はかなりありましたが、全体的にはとても嬉しい試作となりました。花嶋さんも、中村さんも同様の手応えを感じ、本番に向けてさらに力を注いでくれそうな表情をしています。

このオリジナルキッチン、「カナリア石の研ぎ出しキッチン」と名付け、今後、お客様のプランでも提案していきたいと思っています。現場、現物で、見て、触れて、一緒に考えるワークショップ方式の設計デザインを重ねながら、現在プロジェクトは五合目に到達、といった感じです。