大工の自邸プロジェクト(2)

大瀧建築デザインの新しい原型をめざして



デザイナーの中村圭吾さんと取り組み始めた「大工の自邸プロジェクト」2 か月前に股旅社中の仲間の皆さんとも協議をして、プランを練り上げています。基本は固まっていますが、修正案を中村さんとともに見直すと、気になる箇所が浮かびあがります。やりたいことを思う存分実現しようと思いながら、いつもやっていることだからと、手癖で引いた線がじつは気になる箇所だと気づいて、そこのプランを改善するために間取りまで変わってしまうことがあります。反対に、いつもはやっていない新しいことをやろうと熱くなって描いた箇所が、話し合ってみるとアイデアに走りすぎていたり。


本日は、敷地に地縄を張って建物配置の現場検証を行いましたが、結果、配置を変更することになりました。当たり前に良しと思っていたことが、小さなことを見直すことで、新しい発想を導いてくれ、新しいより良い型に向かっていきます。大瀧建築の住宅デザインの、新しい原型となることを目指しています。




「大工の理」と「大工の目」に問いかけながら



目新しいことに切り替えるわけではありません。あくまで大瀧建築の家づくりの流れを汲むものであり、「大工技術で建てる浜松の木の家」が目指すところです。こうしたいと思うことはいろいろ。こうもできる、ああもできる、と、アイデアも技術もいろいろあります。


しかし、浜松に祖父が建てた家がまだがっしりと建ち大切にされているように、大工の理(ことわり)を貫き、大工の目で良し悪しを判断していきたいと思います。


あれもこれもできることは悪いことではないし、お客様の要望あれこれに柔軟に対応していきたい姿勢はかわりませんが、「それならこれがいちばんですよ」と、明瞭な提案ができるようになりたいと考えます。そして、本当にいいものはあれこれあるのでなく、きっと絞り込まれたところにあるではないかと思います。


刻々と変化するプランの打ち合わせに参加しながら、実際に住むことになる広報の大瀧は、赤くなったり青白くなったり気持ちが刻々と表情にあらわれます。